露と枕 旗揚げ試演会によせて-陰山泰

 一昨年の夏、ある出来事が原因で劇研の活動が禁止されているという噂を聞いた。それは昔から劇研に伝わっている、今の時代にはとても素晴らしいとは言えない、ある「しきたり」を守ろうとしたが故のことだったらしい。その年に入った新人達が全く活動の場がないという話を聞いて、ワークショップを数日間、かわいそうな新人達のために開催した。


 その後も彼女らの作る舞台を観続けてきた。共感力と優しさに満ちた女の子達らしさの出た舞台作品だと思った。

 そのチームが今回劇団を立ち上げたいという。ワークショップでのことがどれだけ彼等の身になっていくのか、見届けようと思っている。

  

 件の劇研の「しきたり」は、私たちの時代でも良い行いとは言えなかったが、ある程度は許してもらえた。 でも今の時代、今の社会の中ではそれも難しくなったということ。 時代は変わっていくし、社会への切り込み方も変化していく。

 劇研の舞台作りは常に社会と自分との異和をテーマにしてきたように思う。社会との接点を広く持ち、時代に切り込んでいく、若い学生だからこそ作れる舞台を作っていって欲しいと思う。


 強い気持ちでやり続ければ、必ず道は開ける。 

 先輩達は演劇界の各所で活躍中なのだから、早く追いついて追い越して欲しい。 

 頑張ってね。

俳優 陰山泰 

 

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