『わたつうみ』インタビュー③齊藤由佳

インタビュー第3弾は、齊藤由佳さんです。よろしくお願いします!

よろしくお願いします!


前回参加した公演の感想と、今作の印象を教えてください!

楽しかったです!被災地が舞台の物語なのですが、切り口が斬新で軽やかさもあり、ブラックコメディに近かったですよね。いまだに知人や同業者の方から「面白かった~!」の言葉をいただきます。演じた桑田について共演者の男性陣からは一番結婚したくないキャラだと批評の嵐でしたが(笑)、たくさん毒を吐くことが非日常的で楽しませていただきました。愛嬌と天然さがある私にしかできない(友人の説によると)役だったそうで、瑠菜さんに感謝です。

今作は、題材とそれに伴う世界観はとても壮大な印象です。私にとっては宗教が身近なものではないことや、あらすじにもある「食人」に引っ張られ過ぎたことによって、正直に言うと稽古初期はファンタジー感が強かったです。ですが、実際の宗教的道理を調べたり、瑠菜さん考案の物語の裏設定をみんなで聞いたりするうちに、まだ非常に遠いのですが自分の生活の延長線上にあるような感覚になってきました。

題材は壮大ですが、舞台上では人間の繊細で機微な心情の動きや交差が繰り広げられると思います。後は、主演とヒロインが役としても若いのですが、そのパワーは案外強いのではないですかね。きっと眩い作品にもなる予感でいます。

ほかの出演者の方の印象はいかがですか?

協調性が高いという印象が強いです。加えて、ユーモアセンスや傾聴力も高いので、学校で例えると「とても上手くいっているクラス」みたいな(笑)。その学年で一番当たりだと言われているクラス。個性のバランスもとても良い感じだと思います!


齊藤さんの演じる役について教えてください!

羨ましいです!単純で楽観的で(笑)。みんなの妹分です。10代後半なのですが、赤ちゃんみたいです(笑)。元々、楽観的な性質を生まれ持ったのだと思うのですが、周りの大人たちも神の子たちからの相当優しい態度が相まって、人も物も何でも「信じやすい」子になったのだと想像しています。おまけに文明に触れていなかったわけですから、真面目な話、お客様には赤ちゃんのようにみえてもよいのではと思っています。天性で、苦痛よりも快楽の方へ走っていく子。真の賢い子かもしれないです(笑)。

親しい人にしかバレないのですが、考えるのが趣味で病的な部分がある私とは真逆に近いです。お芝居中に小難しい思考回路を阻止しできるかが私の今回の役作りの鍵であり苦戦する部分であると思っています。


今回の作品のテーマ「許しと弔い」についてどんな印象をお持ちですか?

難しいテーマだこと!瑠菜さん!って思っています(笑)。

日常の中で、これは「許されたいな」と思っていること、何かありますか?

イヤホン付けながら洋服屋さんに入るときは「失礼な態度でほんとにすみません。でも話しかけられたくないのです。すみません。」と心の中で繰り返していますね。少し前までは、関係性の深い人たちとの過去のごたごたについて、「許したい」「許されたい」という気持ちは常に強く存在していたのですが、最近はそのような感覚はどこかへいってしまいました。「許す」「許される」で愛を誤魔化したくないのですかね。好きなら複雑な感情があったとしても過去は事実として受け入れて関係性を続けていこうとするので。でもこれがつまり「許し」ということなのでしょうか?


どんな人にこの作品を観ていただきたいですか?

大きさは問いません。育った環境に影響を受けた自覚がある人にはぜひ観ていただきたいです。子どもは、俯瞰して物事をみることが難しいうえに、ガラスのように敏感です。その時期に外部から与えられるもしくは自然に触れる価値観は、大人になっても根強く残ることがあり、それゆえに生きづらくなったり、逃してしまう幸せがあったりすると思っています。私の場合は、学力優秀な家族や親戚に囲まれて育ってきたのですが、勝手に影響を受けて勝手に価値観を生んで、昔は歪んだ目で人や社会をみていました。愚かさ極まりなかったです。自分は、ある日を境にふと目が覚め、自業自得な呪縛から解かれたという感じなのですが、今回の物語は、周りの大人たちの「改宗」させようというアプローチがあるなかでの神の子たちの変化を描いているので、私自身も興味深いです。


最後に、意気込みをお願いいたします!

多方面からエネルギーを吸収してこの作品に注ぎ込めたらと思います。正直に言うと、壮大かつタイムリーなテーマなので簡単には成功しないだろうという覚悟はあります。皆様を信頼して、豊かな創作を行っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!!!


露と枕Vol.8『わたつうみ』

2023.4/12-16

@下北沢「劇」小劇場

▶詳細 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/pages/1329398/next

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