SAF Vol.12 主宰対談!


左から、 近藤さん(劇団黄色団)・福岡さん(劇団クオッカ)・赤松さん(おやすみ深呼吸)・井上(露と枕)・坂本さん(wokome)・豊川さん(街の星座)・高村さん(家のカギ)。


せっかく多くの同世代の劇団が集まる場。話してみなきゃもったいない!

SAFの前夜祭に参加した7つの劇団の主宰に、色々お話を伺ってみました!


*SAF前夜祭に不参加だった膿月さん・劇団YAKANさん・fatrripmさん・千坐千草さんは残念ながら参加できず…最後に劇団紹介、載せてます!




それでは、よろしくお願い致します!

まずは、それぞれの劇団名の由来を教えてください!


近藤(黄) 僕が黄色が好きだからです(笑)


赤松(お) 略して「おやすみ」って呼ばれたかったから!みんなが演劇を観た後、生活の中で「おやすみ」を使う時にふっと劇団名を思い出して貰えたらなと。あと、劇場って敷居高いと感じている人にリラックスして貰いたくて、「おやすみ深呼吸」です。 


高村(家) 一人一人に面白いものがあると思うんですよ。それぞれ形も違えば、新しく交換出来たりもする。でもみんなが絶対持っていて、大切なものっていう意味で、家のカギです。


豊川(街) 人々が星の並びから「星座」と物語をつくりだしていったように、街の風景から、物語を作りたいなって思ったからです。


井上(露) なんか、水っぽいイメージっていうか…"露"と"枕"を組み合わせたらカッコいいかなって(笑)涙とか、夢物語っていうニュアンスを込めました。


坂本(w) 掛詞なんですけど、「気持ちを込める」とかの「〜を込め」と、日本人に馴染まれてるお米を掛けました。 


福岡(ク) 意味分かんないんですけど、クオッカワラビーの笑顔がムカつくので、絞めてやろうってことで、はい。劇団名にしました。  



ワラビーは、劇団のロゴでもありますよね?

嫌いな動物をロゴにしちゃったんですか?


福岡(ク) パワー貰ってるんですよ。あと自分が福岡っていう名前なので、っていう意味でも…「ふクオッカ」です。 


なるほど……!

そんな様々な思いのこもったそれぞれの劇団の、結成のきっかけを教えてください!


近藤(黄) 高校の顧問に「劇団つくった方がいいよ。むいてるよ」って言われて、それでつくりました。 


赤松(お) 自分のやりたいことやるには自分の劇団をつくることが1番だと思ったので、つくりました!


井上(露) うちのサークルは100年続いてるんですけど、今まで女性主宰はいたことがないって言われて、チャンスだ!って思ってつくりました(笑)


福岡(ク) わー何か、みんなちゃんと考えてつくってるんですね。僕は、「あ、劇団つくろー」って思ってつくったっていう感じなので…。


井上(露) まあでも、理由はいろいろあれど、作る瞬間って結局はそういう感じですよね(笑) 


高村(家) 僕は、継続して作品を書くにあたって、個人の名前よりもっと覚えられやすくて、価値を蓄積しやすいように団体という形と名前を取りました。「家のカギ」も、「おやすみ」と同じように、よく言いますし、覚えやすいので。


赤松(お) 同じ匂いを感じます(笑)


豊川(街) 僕は元々劇団じゃなくてソロユニットでやるつもりだったんですけど、公演を重ねるごとに一緒にやろうよって言ってくれた人がいて、メンバーが集まって、それでですかね。


坂本(w) wokomeは劇団として結成したわけじゃなくて……僕が元々ポエトリーリーディング(詩の朗読)をやっていたところ、映像をやってた相方と意気投合して「詩と映像でなんかやろう」という話になり結成しました。


劇団のメンバーは何人いますか? 


近藤(黄) 僕とあと1人います。


福岡(ク) 僕だけです。


赤松(お) 僕も僕だけです。


井上(露) 私含めて9人です。


坂本(w) 僕と相方の2人です。


豊川(街) 9人です。 


高村(家) 6人います。


劇団員を抱えている主宰から1人でやってる団体へ、逆に1人でやってる方が劇団員を持ってる主宰に何か聞いてみたいことはありますか?


近藤(黄) 劇団員がいる団体さんが、劇団員に劇団のことをどこまで任せてるのかなっていうのが気になります。劇団員にはそれぞれ今後の将来設計みたいなもの、例えば家庭を持ちたいみたいなのがあると思うんですけど、演劇で生計を立てるのはやっぱり厳しくて。

そんな中で、一緒にやっていく期間の位置づけというか。学生の間だけなのか、それともその先も一緒に、なのか。劇団員とどんなビジョンを共有してるのかなって。



井上(露) うちは一応、結成したときに、一生一緒にやっていくつもりでいてねとは伝えたし、お互いそのつもりで活動している感じです。でも、たぶんそれは無理で(笑)、きっと途中で意思が変わることとか、それこそ就活しなきゃだとかいうことは、この先起こってくるんだと思います。

でも、だから任せないんじゃなくて、ちゃんと劇団員のことを信頼して、色々なことを任せて行くことで、しっかりした信頼関係が築けるんじゃないかなと思ってるんです。だから、劇団の中で、しっかり分業制をつくろうとしています。

豊川(街) 劇団員がいて、劇団の形を保ち続けるのってすっごい難しいですよね。

ちょうど先日劇団員みんなと将来の話をしたんですが、「ずっと続けてく」っていう人と同じくらい、「何かしらの形では関わって行きたい」って言ってくれる人がいて。僕もそのスタンスって、ありだと思うんです。ひとつの場所に「俺は絶対売れてやるんだ」ってやつだけっていうよりは、そういう人間が集団の中にいてもいいのかなって思ってて。

あ、ただ仕事を任せるって面に関しては...劇団員全員からこの間「全部自分でやろうとするな」って怒られました(笑)苦手なんですよね......


近藤(黄) 将来的にこの人は、例えばたまにお手伝いで来るくらいになるんだろうなっていう人たちと、今劇団として一緒にやってる、それを認めてるっていうのは、器の大きさが必要だなって僕は思います。


豊川(街) もちろん、「団体としてまとまって1個の目標に向かって!」っていうのもありだと思うんですけど、演劇ってその場その場での「出会い」が大事なのかなって思っていて。例えば客演さんが入ったり、劇団員だけど出ない人がいたりっていうのがある。それが将来的に、普通に就職してるけど役者やるって言って戻ってきてもいいと思いますし、劇団っていう形を広く持って、色々な出会いを受け入れていくっていうのがいいんじゃないかと思ってます。



近藤(黄) 演劇って公演ごとにカンパニーのあり方から考えてくみたいなところがあるじゃないですか。そう考えたら、色々なものを共有できる仲間のいる劇団って、すごく価値のあることなんだなって思いました。


劇団の主宰から、ソロユニットで活動している方に、質問はありますか? 


高村(家) え、しんどくない?(笑)


近藤(黄) 自分昔1人でやってたんですけど、どうしようかと思いました…(笑) 「これ全部自分でやるのかーーー」っていう……(笑) 仲間欲しいなとは思いました。


高村(家) ウチと違ってみなさん団体にポリシーがあると思うんですけど、人間的に、こいつ面白いなって思っても、演劇やるとなった時、ポリシー違うなってなったら「劇団員」にはできないですか?


赤松(お) 劇団でずっと一緒にやるってなると、思想の共有も必要なんじゃないかな。個人の考えの、さらに奥深いとこまで知って、受け入れられたらと思いますね。 それから、1人だと、未来予想図が描きにくいなと。1人でああしたいこうしたいと考えてても、それはただの夢で、でも他の人と共有できれば、それはちゃんと未来設計図になる。おやすみはソロなんですけど、ずっと同じスタッフでやってると、感覚的に劇団員みたいに感じますね。その存在のおかげで、割と辛い時も乗り越えられてます。 



高村(家) 劇団っていう形をとると、誰が残って誰が辞めるか、分からないっていうこともありますよね。就職する人もいれば、演劇続けるって言ってる人もいる。だから、それである意味将来設計がし辛くもなるんじゃないですかね。 


赤松(お) なんか悲しい話に…(笑) 



そういえばクオッカの福岡さんから、SAFの目標が「売名」って伺ったんですけど、


福岡(ク) ちょっと!!


一同 正直!(笑)


みなさんの5年後の、なんとなくの目標は? 


高村(家) こう、台本を書くときにね、しんどくても食べずに書ける主宰になってること(笑)


井上(露) 深夜ドラマを1、2話任せられるところまで行きたいです。


坂本(w) 割と今と同じようにやってるんじゃないかな…。よほど何かが変化しなければ。 


福岡(ク) 同窓会で、演出家を名乗る! 


一同 あ~それいい。かっこいい。


福岡(ク) 名乗るからには、世間にある程度認められてなきゃいけないわけですけど。 


高村(家) それだったら、儲けを出せるようにもなりたいかな。周りに認められる実績って、儲けが大きいと思うんですよ。もちらん、それだけではないですが。 


井上(露) 劇団としてだったら、ツアーやってみたい!っていうのもあります。 


赤松(お) 自分のところは、「劇場での上演」っていう形で演劇をするのは、このSAFで最後かもしれなくて。上演もするけど、ワークショップとか老人ホームとかで、演劇を用いた活動をしていきたいです。「売れてなくても知られてる」「上演“も”する団体」として、社会に演劇をアピール出来たらと思ってます。


福岡(ク) ある意味、演劇を気軽なものにするっていう感じですかね? 


赤松(お) 演劇に関わったことない人に、どんどん関わってもらえる社会になったらいいなと!




最後に、見所と、意気込みをお願いします!


近藤(黄色) 一生懸命、みんなでつくってます…!矛盾とかないように、話しをなんとか成立させたいです。大阪っぽい、汗かくようなお芝居じゃなくて、静かなものをやります。体力無いので(笑) 初日と土曜日の夜、特に観に来て欲しいです!


福岡(ク) エロいしグロいし、誰も幸せにならないようなお芝居なんですけど、世の中のそういう、目を背けたくなるようなことに、演劇という形で向き合って、どうすれば良くなるのかを考えて観て欲しいです。


赤松(お) テーマが記憶喪失なんですけど、高校の同級生に、実際に記憶喪失になった子がいて。その子のために、演劇で何か出来ないかなと思って、みんなでつくった作品です。 作品を観ながら、自分が1番辛い時、誰が寄り添ってくれるのか、周りが辛い時に自分は何ができるか、そういうところを考えながら見て欲しいです。


井上(露) 今回も割と性癖爆発させてますが、暑い夏に色々じっくり考えられるような話になっているのではないかと思います! 是非、お越しいただけたら嬉しいです!


坂本(w) 詩人として、ことばを普段から取り扱ってますが、今回は、ことばってなんだろうっていうのを、テーマとしてます。 この作品を観て、ことばを見る目が変わったら嬉しいです。 


豊川(街) 顔に似合わぬ綺麗なお芝居をやります(笑)締め切りに迫られ、うなされながらも全編書き直したりしました…。是非、観に来て欲しいです!


高村(家) 僕は頭が悪いので、何を伝えたいとかないんですけど。びっくりしたら大声出して、ピンチになったら走り出して、走り出したら助けが来て、助けが来たら助かる。みたいな、分かりやすくて手放しでも楽しんでいただけるようなものを、あと半分...書きたいと思います! 僕も出ますので、是非お越しください。



【SAF Vol.12 出場団体紹介】

劇団黄色団

7/27~29

【団体紹介】 2013年6月に第一回公演『シッポク』で旗揚げ。 

2014年に主宰、近藤輝一の進学に伴い名古屋から大阪にお引越し。 主宰のみのひとり劇団となる。

 2014年11 月 第四回公演『キサラギ』で大阪にて活動を再開、2016年2月には 第五回公演『みずたまり』は道頓堀学生演劇祭Vol.9出展し、優秀劇作賞を受賞。 そして、2018年3月 第六回公演『わたし、ときどき』で、おうさか学生演劇祭Vol.11出展し、念願の最優秀劇団賞だけでなく、優秀主演男優賞、優秀主演女優賞を受賞。 さらに、ひとり劇団を脱却。現在は親交の深い小骨座の浜本と月一企画「キイロイコボネ」を上演中。 主宰の近藤が脚本と演出を担当。 沢山の言葉で何も表現出来ない会話が特徴。 いつだって、黄色いお芝居を。



おやすみ深呼吸

8/3~5

【団体紹介】 2017年に団体を旗揚げ。 学生劇団という枠にとらわれず劇場外での活動も行い「演劇で人の力になる」事を最終目標に活動中。 

今回は実際に記憶喪失になった主宰の知人をモチーフに作品創作を行なう。



露と枕

8/10~12

【団体紹介】 2018年、早大劇研より旗揚げ。 

「人は、一人では生きていけない。人は、人に依存してはならない」

そんな矛盾した正論を受け入れられない人たちが、必死に人に依存する、壮大で繊細な夢物語を紡いでゆく。



膿月

8/17~19

*画像は同作品の、7/29~8/3の公演でのもの


【団体紹介】 現在、主宰1人で活動。

形や形式に捕らわれることなく現代と向き合う舞台活動を起こしていきたい。

多くの人と交流を持ち、これからメンバーを増やしていく予定である。



家のカギ

8/24~26


【団体紹介】 早稲田大学「劇団てあとろ 50’」から同劇団の劇団員・高村颯志を中心に派生して生まれた演劇ユニット。 

「挑戦と浸透」がモットー。 人と人との間にある”関係性と時間”にスポットを当て、コメディ・青春群像・エンターテイメントなど幅広いジャンルで会話劇を中心に上演している。



劇団クオッカ

7/31・8/6・8/7

【団体紹介】 日芸の学生が集まって出来た劇団。 

主宰・福岡悠莉を中心にお客様をハッピー(ダーク)な世界へ誘います。

劇団名の由来→影があるから光がある。 うちの劇団の公演を見たお客様が自分自身がどれだけ幸せか実感してもらい、クオッカワラビーの如く幸せな顔になって欲しいという願いを込めてこの名前になりました。 



劇団YAKAN

7/31・8/6・8/7

【団体紹介】 2016年12月に旗揚げしてから、様々な人を巻き込んで突き進む劇団。

世の中を、強いては自分を沸騰させることでちょっとだけ世界を綺麗にしたい、そんなそれっぽい理念を掲げている。



fatrripm

7/31・8/6・8/7

【団体紹介】

たびするはたけ。



千坐千草

8/14・8/20・8/21

【団体紹介】 海老原百華によるユニット。 

多摩美を中心とした学生を招いて音楽、衣装、映像等を作り、作品を上演。 過去作品では既存の戯曲、詩、文学をモチーフとしたテキストを作製。

〈演劇〉に対しての疑いを持ち、実験を試みた演出・構成をしている。



街の星座

8/14・8/20・8/21


【団体紹介】 作演出の豊川涼太を中心とする劇団。

「キラキラ・妄想・ユメモノガタリ」 

POPでどこかおかしな世界とその中で暮らす人たち、その根底にある社会や不条理を描く。  



wokome

8/14・8/20・8/21

【団体紹介】 詩人、坂本樹と映像作家・有馬武蔵による「詩」「映像」を基点とした創作ユニット。2017年11月結成。 

「生活の劇的追体験」をコンセプトに、ジャンルを問わない創作活動を展開しています。



シアターグリーン学生芸術祭公式HP:http://green55.jp/index.html


企画:月館森(露と枕)

編集:露と枕制作部(月館森・佐藤日香理・丸山怜音)

協力:シアターグリーン学生芸術祭Vol.12参加各団体・シアターグリーン学生芸術祭事務局

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