煙霞の癖寄り道インタビュー⑥奥泉×アッパーカット
寄り道インタビュー第六弾は奥泉×アッパーカット。立ち食いスパゲッティのお店です。
高田馬場駅と早稲田駅のほぼ中間点にある2号店でお話を伺いました!
今回奥泉さんに紹介していただくこの「アッパーカット」というお店なんですが、よく来るんですか?
常連というにはおこがましいですが、好きな場所なので。来れるときに来てます。
安くて量があって美味い。店主の方が元ボクサーで、関係ないボクサーの写真とかグッズがあるのも面白いし、店主の奥さんがいつも笑顔で話しやすいんですよ。一人で行くとおしゃべり弾んだりして。量があるからゆっくり食べながらお話できるのがすごく楽しいですね。でも、あくまで旨いから来てます。
どんなメニューを食べるんですか?
メニュー1つしか無いので。今日はお金ないからトッピングやめときます。
特盛の1kgで。
1kg!食べますね。 しかもこれで700円。
男の子だし。
男の子なので。
店主の奥さんが言うんですよ。「まぁ料理来てびっくりするけどね、食べてもう一回びっくりするよ!こんなうまいのこの値段で食べれないから!」って。
俺は “食事” に固執してるので、美味いご飯屋さんを紹介してやろうという使命感があって。ほかにも紹介したいところはあるんですけど、劇研アトリエから徒歩9分くらいですししかも安い。そのうえ開いて1年くらいのお店なので、ここ教えとかないと!って。夜遅くまではやってないので、昼公演の時間帯とか、夜公演の前にぜひ来てほしいなと思います。
立ち食いなので大勢でゆっくりできる場所ではないですけど、立ち食いスパゲッティ、珍しいし魅力的ですね。
量もあるし食べるのに20分間ぐらいかかるって想定してたらいいと思います。並盛でも500gなんで。
なるほど。ありがとうございます。
さて、作品の話に移ろうかと思いますが、『煙霞の癖』は奥泉さんにとってどんな作品ですか?
まず劇団という視点でいうと、今回初めて出演する人が5人もいて。露と枕は内容が小難しくって出演1回目は戸惑うと思うんですけど、5人のこれまで見たことのない顔が見れるのかと思うと楽しみですね。
今回は確かに露と枕初出演の方が多いですね。
作品という視点としては、今まで露と枕はストーリー性やドラマ性、展開に比重をおいた作品を多く作っていたんですが、今回は、その露と枕の良さを保ちつつ会話に比重を置いている印象を受けていて。井上瑠菜も毎度いろいろ試験的なことをしていて作品作りが変化しているし、我々役者もさらに材料を与えられるように役者としての仕事を果たしていきたいと思います。
ちなみに奥泉さんは今作品でどんな試験的なことをしているんですか?
そうですね。…他人になる、っていうことを今一度模索していきたい。自分の身体じゃないですか、役を演じていても。だからどうしても自分の生来の性質というものに、ある種助けられ、ある種阻まれて。自分の持っている性質から派生させるのではなく、自分の性質自体をいじれたらなって今回は特に思ってます。
それは今作から何か影響を受けてそう思ったんでしょうか?
はい。今まで与えられてきた役って、その人物の中核にいつも弱さがあったんですよ。弱さをとっかかりにいつも作ってきてたんですけど、今回の役にはその弱さが、まああるんでしょうけど、ポイントがそこではないというか、むしろ他人の弱さに影響を与える人物だと思ったので、自分の中の弱さに向き合っている場合じゃないなと。
自分の中へ向ける目よりも外に向ける目っていうものを増やしたい。自分にばかり目が向きがちなところがあるので。
亀山のどんなところにそれを感じたんでしょう?
月館の演じる「深司」が今作で最も弱い人間だと思うんですけど、亀山はその実の弟で。要領の良い亀山への劣等感から内向的になっていく深司の一方で外向的になっていく亀山っていう二極化が偶然できてしまって。亀山が何かしたわけじゃないけど、きっと腹の中では深司を嘲笑っていただろうし、深司もそれを感じ取っただろうし。…でもまだ亀山のことを理解しきってはないですね。それこそ、亀山は自分よりも外に目を向けている人物だと思います。
ちなみに、今回の登場人物ではだれが一番好きですか?
友達になりたい人は一人も居ないですね。あっさりした性格の悪い奴か、お節介な性格のいい奴しか居ないから。どちらにせよ、全員が全員過干渉なところがあんまり。そういう意味では、俺は他人の干渉から自由でありたいと思ってる、はずです。
この作品の主題として「自由への昇華」「不自由の供養」というものがありますが、奥泉さんにとって自由、または不自由とは何ですか?
…食べ放題か、そうじゃないか。
…他にはありますか?
他は......ビールがない夜は不自由ですね。あ、そういうことじゃなくて?…カレーが売ってないフードコート。カレー屋のない街。あ、カレー屋のない街ですね。うん。カレー屋のない街は不自由ですね。
つまり、自分の欲求が湧いた時に、満たされないことがあるというのが不自由だと。
あ、すごい。それじゃん。
何か言い残したことはありますか?
今回の奥泉は、5作品ぶりに眼鏡をかけます! !
〈お店情報〉
アッパーカット
〇営業時間
月曜日~土曜日 11:00~売り切れまで
日曜定休
〇お問い合わせ
03-6205-6656
露と枕 Vol.3『煙霞の癖』
【作・演出】井上瑠菜
【出演】澤あやみ 小林桃香 月館森 中野華子 奥泉 村上愛梨 北原葵 絹川鈴 (以上、露と枕)
宮部大駿 佐野芹奈 川合凜 田中遼太郎 ひな香
【日時】2019.11/13-19
【会場】早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ
【公演詳細】次回公演ページ
【お問い合わせ】
Mail tsuyu.makura@gmail.com
twitter @tsuyu_makura
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