#つゆまつり2020 その三、『春俟つ枕』のはなし
どうも! 井上です。
今日あったかいですね。ていうか、あついですね。今すごく、清水公園に行きたいです。実家から近いんですよ。海へドライブにも行きたいですね……。でも我慢です。
本日は露と枕Vol.2『春俟つ枕』の振り返りをやっていきたいと思いま~~~す。
(前回までの振り返りはこちら)
その一、私たちのはなし:露と枕という劇団についてと、劇団員紹介
その二、『煙霞の癖』のはなし:2019年11月の第三回公演、『煙霞の癖』について
今日も長いですが、昨日よりはもう少し、丁寧にいきたいと思います。
昨日と引き続き、ざっくり概要をご説明したら、「初級編」「中級編」「上級編」で振り返っていきたいと思います。
- 初級編🥚は、露と枕を観たことのない、または春俟つ枕を見逃してしまった方々へ。どんな雰囲気だったか、ご紹介します!
- 中級編🐥は、春俟つ枕を観た皆さんへ。印象的な台詞や見どころなど、振り返っていきます。
- 上級編🐓は、ちょっとコアなお話をします。裏設定とか裏話とか。
ではいきましょう~~!
〇ざっくり振り返り
2019年3月14日~16日に一心寺シアター倶楽にて大阪公演を、4月18日~23日に大隈講堂裏劇研アトリエにて東京公演を上演しました、Vol.2『春俟つ枕』。
“はるまつまくら”と読みます。(何でこんなに読みづらいんですかね?)
俟つ(まつ)=期待する、必要とする、などの意味です。春を必要とした枕って意味です。
▼舞台設定
短くまとめると、男性恐怖症で性依存症の女の子・都と、身体は男性だが心は女性、性指向は女性という真菜の、二人の人物が、出会って、恋に落ちて、死んでしまうまで何が起きたかを描いた作品です。
詳細はこんな感じ。
舞台は郊外のホテル街の奥の一角に建つ、とあるラブホテル「ゆうとぴあ」。その一室で奇妙な殺人事件が起きたところから、物語は始まる。身元の分からない絞殺体が、大量の血液で染まった枕の上に寝かせられていたという。しかも枕の血液は死体のものではなかった。
事件から四カ月たったある日のこと、「ゆうとぴあ」に一人の少女、波花がやってくる。波花は自分の「兄」=白石雪兎が事件前にゆうとぴあに出入りしており、事件から消息を絶っているという。波花はゆうとぴあに住む冴子という少女から、絞殺体で見つかった「都」という女について聞いていく。
現在の時間軸で波花が事件を追う物語と、過去の時間軸で「都」と「白石雪兎」の出会いから死までの物語が交差する、四人の「少女」たちの末路を描くストーリー。
昨日から学んでさわりだけにしましたけど長いです。あらすじこちら。
相関図はこんな感じです。
あとこれ、見てください。これはCMです!
▼テーマ
このお話は、サスペンス的な要素が非常に多く、展開の起伏がとにかく激しいです。
中盤まで割とスタンダードに進んでいきますが、中盤で一発目の山がきます。そこから次から次へと手のひら返しで真実が明らかになっていくというか。色んな人が嘘をついているので、「マジで? は?! 重!!」みたいな展開がずーーーっと続きます。
全員そこそこの嘘つきです。「嘘」が一つ、重要なテーマではありますね。
ただ、主にこの物語で語られるのは、「性と家族」です。
疑似家族の形成と、セックスとか性別の話とか。性を通してしか持続しない「かぞく」という形について、強烈な展開とスピードで語っていく物語です。
『春俟つ枕』の「春」も、売春をイメージしていたり。(キャッチコピーは、『春、売る。春、待つ、俟つ。』でした) でも、冬の厳しい寒さのように襲い来る不幸と淀んだ雰囲気の中で、登場人物たちはみな春の芽吹きを待っているし、求めている。そんな矛盾をはらんだ「春」でした。
テーマカラーは【赤】。「性と家族」を象徴する、経血のイメージから、衣装や舞台美術、照明などが赤っぽくなっています。
▼東阪二都市ツアー
この作品は大阪と東京で、二公演上演しました。
地方公演って言うのは劇団初でしたね……!
シアターグリーン学生芸術祭(SAF)Vol.12で最優秀賞をとって、おうさか学生演劇祭Vol.12に招聘されたので、大阪で公演したって感じです。なので、おうさか学生演劇祭Vol.12参加作品でございます。
こちら、優秀主演女優賞を都役の澤あやみが、優秀助演女優賞を冴子役の北原葵が、優秀演出賞を私井上瑠菜がとりました!(いえ~~い最優秀劇団賞とりたかった~~~~~~)
あと、大阪公演と東京公演で舞台セットをガラっと変える、という試みを行いました。比較画像↓↓
【大阪】
【東京】
まあでも、基本的には「ゆうとぴあ」というラブホテルの一室で巻き起こるストーリーなので、部屋を作ってましたかね。うん。
〇初級編🥚
さてさて、初級編です。
『春俟つ枕』を観ていない方々へ、ストーリーや雰囲気を知ってもらえればと思います。
この作品は「四人の少女についての物語」ですので、まずはその四人をご紹介します。
- 真菜(白石雪兎):身体は男性だが心は女性、性指向は女性
- 都:男性恐怖症で性依存症。「ゆうとぴあ」に住んでいた。
- 波花:「白石雪兎」の妹と名乗る、地味な女。
- 冴子:「ゆうとぴあ」に住む天真爛漫な少女。都を姉のように慕っている。
大体この四名を中心に、物語が進みます。
真菜と都が【過去】のペア、波花と冴子が【現在】のペアです。相関図もっかい確認しましょう。
さて、物語を展開ごと、時間軸ごとに解説いたします。本来は同時進行で進んでいきますが、そこそこ解説しづらいので、まとめちゃいます。悪しからず。
- 起その一:【現在】「ゆうとぴあ」で起きた怪事件を巡って、波花と冴子が出会う
- 起その二:【過去】「ゆうとぴあ」にて真菜と都が出会い、二人で暮らし始める
- 承その一:波花の正体と都の秘密
- 承その二:都と真菜の監禁と、「ゆうとぴあ」の真実
- 転:【過去】「ゆうとぴあ」内で起きた事件と、その真相
- 結:【現在】波花の決断
こんな感じです。早速いってみましょう。
(あ! 基本的に大阪公演の写真を使用してます!)
▼①起その一
~【現在】「ゆうとぴあ」で起きた怪事件を巡って、波花と冴子が出会う~
物語の始まりは、波花が「ゆうとぴあ」を訪れるところから始まります。
波花は「ゆうとぴあ」の前でうろうろしていたところ、謎の少女、冴子と出会い、半ば無理やり「ゆうとぴあ」の中の一室に招き入れられます。
波花は「ゆうとぴあ」で起きた奇妙な殺人事件について聞きたくて来ました。絞殺体がベッドに寝かせられ、枕が誰かの血で染まっていたあの事件です。
彼女の兄、白石雪兎が事件前「ゆうとぴあ」に出入りしていて、事件から消息を絶ったというのです。
波花はそこで、「ゆうとぴあ」の従業員の枯野と、オーナーでありママと呼ばれる鷹狩と、出会います。
オーナーの鷹狩は、枯野とともに出会った不遇な少女たちを住まわせ、「かぞく」になって幸せに暮らしていた、と言います。
鷹狩がママで、枯野が兄、冴子が妹。そして、真ん中に、「都」という少女がいました。その都こそが、事件で絞殺されたというのです。
事件のことは何も知らないという「ゆうとぴあ」のかぞくたち。波花はそこで追い出されそうになりますが、冴子の計らいによって、事件のあった一室へ案内してもらうことになります。
▼②起その二
~【過去】「ゆうとぴあ」にて真菜と都が出会い、二人で暮らし始める~
さて、過去にさかのぼります。まずは白石雪兎の日常が描かれます。
彼は大学の医学部に通っていますが、授業は欠席気味。友人の八手に代返してもらいながら、何とか通っています。
何故なら、恋人の榾木に振り回される生活を送っていたからです。
榾木は家庭を持ちながらも雪兎を過剰に束縛し、精神的にも身体的にもDVを行う男でした。最低!
不倫のため奥まったラブホテルを使うことが多かった二人は、あるとき「ゆうとぴあ」に訪れます。しかし榾木の機嫌が悪く取り残されてしまった雪兎は、都に出会うのです。
都は不思議な人でした。「部屋を間違えた」とニコニコしながら、雪兎に何の衒いもなく「美人だね」と言います。
何となく惹かれるもののあった二人は、それから雪兎が榾木と「ゆうとぴあ」を使うたびに会うようになり、交友を深めていきます。
そんなある日、都と雪兎が仲良くしゃべっていると、榾木に会ってしまいます。
浮気しているとブチ切れた榾木は、雪兎に、都に詰め寄ります。都は榾木に怒鳴られ、過呼吸気味になってしまいます。
榾木が散々荒れて帰った後、二人は自分たちのことを打ち明けます。
雪兎は心が女性であり、女性の自分を「真菜」と呼んでいること。
都は男性に対するトラウマを抱えていること。
都は雪兎のことを「真菜」として受け入れ、都は「ゆうとぴあ」を出て、真菜は榾木との関係を切って、二人で暮らすことを決意します。
友人の八手を招いた引っ越し祝いパーティーもして、二人暮らしを始めた真菜と都。
二人での暮らしは苦しいこともありましたが、何だかんだでうまくいっていました。
あることが起きるまでは。
▼③承その一
~波花の正体と都の秘密~
さて、現在に戻ります。事件のあった一室に案内された波花は、前の部屋にかばんを落としてきてしまいました。それを拾った鷹狩が冴子へ渡し、冴子は波花へかばんを返します。
鷹狩と冴子は、かばんの中の財布を見たようでした。そして、その中には波花の学生証がありました。
彼女の名前は塩田波花であり、白石雪兎と同学年、同じ学部に通う学生でした。
冴子は学生証を突き付け、波花に詰め寄ります。
「ストーカーだったんだよね?」
何故そう言えたかというと、実は過去で、事件の発端となるような出来事があったからです。
二人で幸せに暮らしていた都と真菜ですが、ある日都が腕に大きな裂傷を負って帰ってきたのです。真菜は病院へ行こうと言いますが、パニックになった都は拒みます。そして、都は「知らない人に何かをかけられた」と言いました。
都の腕に薬品をかけて怪我をさせたのが、波花だったわけです。
彼女は雪兎が都と暮らし始めたことを知っていて、都に薬品をかけた。それは波花がストーキングした結果、都の生活を知ったからでした。都は仕事もせず、男と遊び歩いていたのです。
都は過度なストレスを感じると、性行為を求めてしまうのでした。
普段は男性を恐怖しているのに、性行為に依存している自分を、真菜には必死に隠していた都ですが、怪我のパニックで真菜に襲い掛かってしまいます。
さて、現在でストーカーであることと都に怪我を負わせたことがバレた波花は、冴子に「今日から波花ちゃんが私のお姉ちゃんね」と脅されます。
ここから、波花の監禁がスタートします。
▼④承その二
~都と真菜の監禁と、「ゆうとぴあ」の真実~
さて、都が腕を裂傷し、真菜を襲った後、都は「ゆうとぴあ」へ戻ってきます。
鷹狩は喜んで都を迎え、「これは天罰よ」「もう出て行っちゃだめよ」と脅しのような文句を並べ、都をかくまいます。
しかし、真菜は都を「ゆうとぴあ」まで追いかけてきます。
また一緒に暮らそうという真菜に、都は「もう一緒に暮らせない」とゆうとぴあへ残ることを宣言します。
でも、真菜は都と一緒にいたい。鷹狩はそんな真菜へ、都をもう一度外の世界に送り出すことは出来ない、あなたも一緒に暮らせばいいと提案します。
半ば脅しのように友人、八手との関係を真菜に切らせ、鷹狩は二人の監禁に成功したのでした。
そして、現在。同じように冴子が波花の監禁を始めます。
冴子は波花に綺麗な服を着させ、枯野に真菜と都の監禁当時の話をさせ、そして、「ゆうとぴあ」が行っている「仕事」について話し始めます。
「ゆうとぴあ」でかくまわれる少女――「子ども」たち=冴子や都は、子供を作る仕事をさせられています。鷹狩が子供が産めず、家族を持つことが出来ないために、「子ども」に本当の子供を作らせるために、風俗めいたことをさせているということでした。
絶対にしたくないという波花に、自分のしたことを振り返れとまた脅しのようなことをいう鷹狩。憔悴しきった波花へ、従業員の枯野が、真菜と都の話を聞かせます。
鷹狩は都の「仕事」の一切を真菜に任せたものの、都はもう真菜を襲うまいと真菜に会わない生活を続けていました。
見かねた枯野は、彼ら二人を「ゆうとぴあ」から出す計画を立てることにします。
都は真菜へ強烈な罪悪感を持っているからこそ、真菜に謝り続けますが、それは都のせいではなく病気なのだと、真菜は都を受け入れます。そして、もう一度「ゆうとぴあ」から出てやり直そうと、二人は決断します。
⑤転
~【過去】「ゆうとぴあ」内で起きた事件と、その真相~
そして、決断から間もなく、榾木が「ゆうとぴあ」を訪れます。
榾木は真菜へ謝りますが、真菜は聞く耳を持ちません。それでも、自分の思いを伝えたいと真菜に真摯に向き合う姿に、真菜は少し絆されていきます。
しかし、真菜に詰め寄る榾木を見てしまった都は、真菜が襲われる、真菜を守らなければ、と錯乱し、榾木のことを殴り倒します。
何度も何度も殴って、榾木は動かなくなってしまいました。
それを発見した鷹狩と枯野は、榾木を運び出し、都を慰めます。
そして鷹狩は真菜へ、「都を人殺しにしたくないでしょう」と、追い打ちをかけます。
二人きりになった真菜と都は、また、情事を繰り返してしまいました。
それから、都は真菜の子供を妊娠してしまいます。
とうとう逃げ場のなくなった都は、真菜の眠る部屋で、首を吊って死んでしまいました。
真菜はそんな都の姿を見て、自分の性器を切断し、都の手を握って後を追ったのでした。
⑥結
~【現在】波花の決断~
事件のあらましを聞いた波花は、この残酷で美しい愛のようなものを、理解できません。
自分の「妹ごっこ」と、自分が招いた一連の事件への罪悪感と、「かぞくごっこ」を今でも続けるゆうとぴあの人たちへ思いを馳せ、彼女はここで、かぞくになることを決意します。
それから何年か経ち、冴子の姉、枯野の妹として生活をつづけた波花は、無事妊娠することが出来ました。
胎児が波花の身体の中で蠢くことで、物語は幕を下ろします。
大体こんな感じです! はい!
細かい心情の変化や、榾木・枯野・八手のストーリーとかすっ飛ばしましたが、こんな感じです。
改めて文章にすると、何て言うか。何とも言えませんね。ちょっと、詰め込みすぎ?笑
ちょっと反省しました。
〇中級編🐥
中級編は観たことのある方へ。見どころや台詞を振り返っていきましょう。
▼都と真菜の最後
クライマックスです。基本的にあの事件は何だったのか?みたいなことを追っていく話なので、「あ、そういうあれね!」ってなるはずなんですけど、色々起こりすぎて、もうそんなこと覚えてないレベルだったでしょう。
ただやっぱり都と真菜の関係性が詰め込まれたシーンだったと思います。「お花見」とか、「嘘」とか。もう一回見ておきましょう。画像。
***
都 ……結局、行けなかったね、お花見、……。
真菜は目を開けるが、ベッドから動くことが出来ない。都は外を見ている。
真菜 ……。
都 今から、行けるかなあ。
真菜 ……無理、だよ。桜、咲いてないもん。
都 それがさ、咲いてるんだって。
真菜 嘘。
都 嘘じゃないよ。
真菜 こんなに寒いのに、咲くわけ、ないよ。都 ……。
真菜 もう、ずっと、行けないよ、この先も、……。
間。
都 騙されなくなったね、……。
真菜 ……。
都 そうだよね、たくさん、嘘ついたもんね。
真菜 ……うん。
都 全部、嘘になっちゃったもんね。……きっと、これからも。
真菜 ……。
都 真菜。
真菜 ……何?
都 私、真菜と、ずっと一緒にいるからね。
都はカーテンをあけ、赤いリボンでくくり始める。
真菜 ……何、それ。
都 ……。
真菜 何それ、何それ、……やめてよ、嘘にしないでよ。私の言葉まで、嘘にしないでよ。
都 ……。
真菜 全部、嘘でいいよ。全部嘘でいいから、それだけは、嘘にしないで。
都 何で?
真菜 私、都と一緒に居たい。
都 私もそうだよ。
真菜 ……やめてよ。
都 だって、女の子なのに、体は男の子って、相性良いし、
真菜 都、
都 私結局、ずっと、真菜とセックスしたかった、だけだった。
真菜 嘘じゃん。
都 だからずっと一緒にいる。真菜が傷ついても一緒にいる。見ないふりして甘えて一緒にいる、これからも!
真菜 行かないで。
都 ずっと、一生、真菜のこと、……。
真菜 お願い、行かないで。……都。
リボンを掴み、首にかけるようなそぶりを見せる。
都 全部嘘だったよ。最初から。……全部嘘だった。
真菜 ……嫌だ。
都 でも、これだけは、信じてくれる?
真菜 都。
都 真菜は、世界一、優しくて、綺麗な、女の子だったよ。
***
これで都死すです。
ちょっとノンストップでいきましたけど、思い出してもらえたらうれしいです。
▼榾木の回想
やばいDV男である榾木の回想シーン、結構お気に入りですね。
彼がDV男になる前、真菜の唯一の理解者で、優しかったときですね。
***
榾木 今いくつ?
真菜 ……中三。
榾木 じゃあ、俺が特殊かもな。
真菜 ……?
榾木 中三なんて、狭い世界だからさ。
真菜 ……でも、
榾木 もっと大人になったら、いろんな人が居るから。大学とか行ったら、いろんな人に会うから。
真菜 ……うん。
榾木 そしたら、たぶん、もう少し生きやすくなるよ。
真菜 ……。うん。
榾木 もし、
真菜 ん?
榾木 今もう無理だって思ったら、逃げてもいいと思う。
真菜 ……無理だよ。榾木 出来るよ。まだまだこれからなんだから。
***
こういうの見ると、人って余裕があるときには人のこと気遣えるし、優しくする人とそうじゃない人みたいなもの、あるのかもしれないな、って、今思います。
みんなに優しくしたい。ですね。
▼枯野くん
『煙霞の癖』で雪村役をやった宮部大駿の初露と枕だったんですが、人気、高かったですね。内部でも外部でも。女性人気が。
多くを語らないですけど、かぞくへの気持ちとか、ママへの気持ちとか、少ない言葉で良く表現出来たなあと、思います。
私は都との最後のシーンが素敵だなと思っています。
***
都 お兄、
枯野 ……。
都 ……私と真菜、違う部屋、に、……。
枯野 ……。
都 ……お兄。
枯野 ……。
都 ……。ねえ、あのひと、どうなった……?
枯野 ……。心配することないよ。
都 そっか。
枯野 ……うん。
都 ……ごめんね、お兄、……。
枯野 ……。
都 たくさん、ごめんね。
枯野 ……ううん。
都 ありがとう。枯野 ……。
***
露と枕って、「……」が多いんですよ、何か。読みづらいですよね。ただ、この、「ううん」が素敵だったし、「たくさん、ごめんね」が好きです。
▼衝撃シーン
割と衝撃シーンの連続でした『春俟つ枕』の衝撃シーンを羅列して、中級編を終わります。
その一
***
波花 ストーカーじゃない、ストーカーじゃない、私、ストーカーじゃない、だって、雪兎さんは私のこと知ってた!
冴子 違うじゃん。
波花 私は雪兎さんの、何でも知ってたし、それは雪兎さんも知ってて、ちゃんと挨拶とか、毎日したし!
冴子 波花ちゃん、本当のこと言って。
波花 雪兎さん、いや、お兄ちゃんは、波ちゃんって呼んでた。
冴子 ねえ、本当に怒らないから。
波花 私、雪兎さんが私のこと好きなんて自惚れたこと一度もない、私のこと好きじゃなくても雪兎さんが幸せなら私それで十分だったし雪兎さんの世界に私は居なくて良かった、
冴子 波花ちゃん。
波花 そう、そう都、都って女、雪兎さんが好きだって言うから、私どんな人かなって、どんな素敵な人かなって、なのに、あの女、仕事もしないで、遊び歩いて、許せなかった!
***
その二
***
真菜 みやこ、みやこ、……やめて、都!
都 (荒く息を吐いている。何も言わない)
真菜 やめて、死んじゃう、
都 また真菜のこと傷つけようとした。
真菜 都、
都 こいつ、また。
真菜 いいから、
都 死ね、お前なんか、お前なんか、死んじまえ。
真菜 やめて、都……。
都 真菜も駄目だよ。こいつに殴られたままじゃ駄目だよ。殴んなきゃ。今までやられた分。
真菜 だめ、だめ、本当に、……
都 何で真菜、かばうの、死んでいいよ、こんなやつ、死んでいいんだよ。
真菜 薪一さん、?
都 だめだよ。名前呼んじゃ駄目だよ。喜んじゃうよ。
真菜 ……。都 だめだよ、……私もこいつと一緒なんだよ。真菜に同じことした。真菜が傷つくこと、
真菜 ……。
都 だから、今度は私が、真菜を守るから、ね、……。
***
以上中級編でした~~!!
〇上級編🐓
ここからはちょっと細かいお話。裏話、裏設定など話していきます。
▼大阪修学旅行話
大阪公演、学生演劇祭の招聘ということで、小屋の近くに宿をお借りして泊まりました。
まあテンション上がりました。大学に入ってから修学旅行みたいなのってなかなかないので。部活の合宿ってこんな感じかも、みたいな……?
事件File.1 米が炊けない
朝ごはんとか基本自炊でしたが、お米が炊けないという事件がありました。水はるラインまでお米を入れて「水ってどれくらい入れれば……?」と聞かれたときはみんなで馬鹿笑いして楽しかったです。
無事作れた料理は本当に美味しかったです!! ほんとうにありがとう!!!!
事件File.2 井上瑠菜、寝かせてもらえず、男子部屋に迷惑をかける
女子部屋男子部屋ありましたが、女子部屋がまあ盛り上がりまして。
私は永久に寝かせてもらえず、騒いでいたので、他の女子や男子部屋や多大なる迷惑を掛けました。本当に申し訳ないです。年甲斐もなくはしゃぎました。
▼裏設定で遊ぶ
露と枕はありがたいことに、劇団員がたくさん作品で遊んでくれます。
ダジャレめいたセリフになることがたまにあるんですよね。2016年にやった、劇団になる前の公演に「せみのさなぎ」という作品があるんですが、意識しないで「窓の前で微睡んでらっしゃるだけでしょう」っていうセリフを書いてしまって。一生ネタにされてます。
それはそうと、この作品も色々遊べるところが多くて。
主には枯野と鷹狩ですね。
作中には出てきませんが、彼らって不思議ですよね、かぞく内で枯野だけ男っていうのも、謎が深いです。
実は二人、幼馴染でして、10くらい歳の離れた。枯野は借金を滅茶苦茶抱えていて、おうちから追い出されて、鷹狩と暮らすようになったんですが、まあずーーーっと枯野が鷹狩のことを好きなんですよ。でも鷹狩は昔からサイコパスだしバツイチだったりして。自分に子供が出来ないことに絶望して夫と離婚し、「かぞくごっこ」を二人で始めることにしたんです。
私としては、「かぞく」を作るにあたって不純な気持ちを持っている男がいるっていうのが、この疑似家族において重要な倒錯だと思ったので設定しましたが、若干ストーリー進行上邪魔だから言及しないことに決めました。
(そういう設定が多すぎて、情報過多になるところを、今この文章を書きながら反省しています。もう少し演劇に真摯になろうと思います……)
そこで鷹狩役の小林桃香が盛り上がっちゃってずっと二次創作して遊んでました。
私はそういうのがすごく好きで、何だろう。自分が好きな作品があると二次創作を読んだり書いたりするのが大好きなんですよ。だから、「二次創作してもらえてる!! この作品魅力あるんや!!」みたいな気持ちになります。
有難いです。構成員には色んな意味で支えてもらってるなって思います。
影響されたので春俟つ枕の台本に掲載したスピンオフは、枯野が波花から生まれたこども・さくらと夜ドライブするお話です。
▼オリジナルサウンドトラックを作ってもらいました
絶対聞いて下さい。
―――https://soundcloud.com/kijibato8/sets/pillow-needs-spring-ost
本当に素敵な曲を作っていただきました。『春俟つ枕』より楽曲制作をお願いしているKijibatoさん。とにかく聞いてほしいです。お願いします。
『煙霞の癖』もとても素敵なので皆さんに聞いてほしいです、気になったら次回公演の物販でお手に取ってご覧ください是非。
▼今読んでみて思うこと
最後です。春俟つ枕を読み返して思うことです。
一応この作品の裏テーマみたいなものがあるはあるんですけど、それは話しちゃうと情緒がないなって思うので、私が今読み返して思うこと、綴って終わりたいと思います。
この作品、何だかんだ衝撃の展開が続きますが、私なりの当時の因果応報を綴っているんじゃないかな、と。
悲惨な目にあうときは必ず自分に問題がある。悪い人が近づいてくるのは自分が引き寄せてるから。ただその問題が、その人が悪いんだって決めつけたり、片付けないでほしい。世界の片隅で何かの歪みで、起こるかもしれない世界だと思ってほしい。
そういう気持ちが見えるなって思います。見せ方は、当時も思ってましたが拙いなと思います。ちょっと諸々がフィクション過ぎて。もっとやり方あるなとも思うし、じゃあ今の私が満足に出来るかと言ったらあんまり自信ないですね。
最初のるなぶろぐでも綴りましたが、「あったら良いな」「でも絶対あり得ないんだよな」が一番入り乱れていたとも思います。「幸せになるのはあり得ないかな」みたいな気持ちが強かったからこそ、一番優しくない悲劇になってしまったかなとも思います。
重い話で拙いながらも、自分の中では出てきた課題に向き合い続けられたかなと思います。
以上です。本日もお疲れ様でした。長いですね。一万文字です。遠慮がなくなってきました。短くしようという思いが消えうせ始めてま~~す。
『春俟つ枕』も、物販で台本発売しております。気になった方は、是非次回公演、いらしてくださいね!!
明日はシアターグリーン学生芸術祭(SAF)Vol.12で最優秀賞を受賞したSFサスペンス、💧露と枕Vol.1『ビリー・ミリガンの毒薬』💧について解説していきます~~!!
ばいび~~~~
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