#つゆまつり2020 その六、『白に色づく』のはなし
はーい! 井上です~。
今日はめっちゃあったかいですな。暑いまでありますね。きっとこれからも暑くなっていくんだろうなあ……。
本日は💄露と枕Vol.0『白に色づく』💄の振り返りをやっていきたいと思いま~~~す。
(前回までの振り返りはこちら)
その一、私たちのはなし:露と枕という劇団についてと、劇団員紹介
その二、『煙霞の癖』のはなし:2019年11月の第三回公演、『煙霞の癖』について
その三、『春俟つ枕』のはなし:2019年3・4月の第二回公演、『春俟つ枕』について
その四、『ビリー・ミリガンの毒薬』のはなし:2018年8月の第一回公演、『ビリー・ミリガンの毒薬』について
その五、『桎梏ブランコ』のはなし:2018年4月の旗揚げ試演会、『桎梏ブランコ』について
昨日と引き続き、ざっくり概要をご説明したら、「初級編」「中級編」「上級編」で振り返っていきたいと思います。
- 初級編🥚は、露と枕を観たことのない、または白に色づくを見逃してしまった方々へ。どんな雰囲気だったか、ご紹介します!
- 中級編🐥は、白に色づくを観た皆さんへ。印象的な台詞や見どころなど、振り返っていきます。
- 上級編🐓は、ちょっとコアなお話をします。裏設定とか裏話とか。
ではいきましょう~~!
〇ざっくり振り返り
2017年12月7日~11日に大隈講堂裏劇研アトリエにて上演しました、Vol.0『白に色づく』。
露と枕としては、エピソード0ってやつですね。
▼舞台設定
短くまとめると、若者を中心に人気沸騰中の女性アイドル・大槻彩が、ドキュメンタリー映画の撮影中に中学の同級生・内海透と再会したのをきっかけに、芸能人生が崩壊していく、というお話です。
詳細こんな感じ。
舞台は若者を中心に人気沸騰中の女性アイドル・大槻彩が所属する芸能事務所。
彩にドキュメンタリー映画の話が舞い込んできたところから話が始まる。映画監督・黒田は彩に密着取材を申し込む。彩は多忙な日々を過ごしていて、体調を崩すこともしばしばあったために、事務所側の社長・赤木遼子は断るものの、彩は密着取材を受け入れることに。
赤木には特別な心配があった。彩の「アイドル像」はすべて演技であるのだ。彩は生来、人の気持ちや、自分の気持ちすら理解できないという苦しみを抱えていた。
取材中、撮影の見学と称して、彩の中学の頃の同級生・内海透がやってくる。彩は内海と再会したことにより、段々と演技が出来なくなっていってしまう。
普通になりたかった、普通の少女の物語。
はい! スッキリしてる、何か! この頃は!!!
あらすじはこんな感じです。
相関図こちら。
▼テーマ
このお話は、大槻彩の卒業ライブから始まり、何故芸能界を引退する運びになったのか振り返っていく構成です。そして振り返っていきながら、「大槻彩って何者?」ということを掘り下げていく展開になってます。
序盤で正体は明らかになるものの、周りの大人たちが探っていくのを必死に隠す親代わりのような事務所社長の赤木がいたり。中盤以降で彩の過去が明らかになったり。
主に語られるのは「普通と色」ですかね。普通って何だい、っていう。主人公の彩は、本名大槻白(おおつき・あきら)と言うんですが。そんな彼女の真っ白なキャンバスを、周りや何より彼女自身が頑張って染めようとするけど、染まらない白というある種の異常性に、周りも彼女も苦しんでいく、そんなお話です。
テーマカラーは【白色】です。登場人物はそれぞれ色を持っていますが、舞台美術は白っていう。美術綺麗でしたね~~。
▼Vol.0とは?
この公演、Vol.0という冠がついているんですけど、もともとは旗揚げ試演会です。(旗揚げ試演会の説明は『桎梏ブランコ』のはなしにあります)
旗揚げ試演会として上演出来たんですが、審議で旗揚げを認められなかった、という過去がある公演です。
なので、露と枕としては「エピソード0」的な要素がある公演です。
でも前回までのバチバチに地獄みたいなストーリー展開とは打って変わって、ちゃんと「優しい悲劇」であり、絵も登場人物たちの心情も綺麗です。胸を張って、「ここが出発点だ」と誇れるような、そんな作品を上演していたと思います。今でも。
〇初級編🥚
さてさて、初級編です。
『白に色づく』を観ていない方々へ、ストーリーや雰囲気を知ってもらえればと思います。
このお話は割とすっきり見れる……はずです。解説いきますよ~
- 起:「大槻彩」というアイドル
- 承:再会と「白」の秘密
- 転:決裂と過去
- 結:引退
お、スッキリ~~。いきましょ~!
▼①起:「大槻彩」というアイドル
大槻彩の卒業ライブのMCから幕が上がります。
彼女は最初はファンへの感謝や引退への悔しさを述べていきますが、段々と様子が変わっていき、表情も声も抑揚がなくなっていきます。
そして、彼女は「少しだけ、私の話をさせてください。」と、自分の話を始めるのでした。
回想は、彩のドキュメンタリー映画の打ち合わせから始まります。
映画監督の黒田と助監督の緑川が、彩の所属する赤木芸能事務所のオフィスを訪ねています。社長の赤木が二人を迎えます。
しばらくしてマネージャーの水森とともにやってきた彩。打ち合わせが始まります。
黒田はプレゼンテーションを始めるも余計な寄り道ばかりします。辟易する赤木と水森。
しかも、彩に密着取材をさせてほしいと言います。良く体調を崩す彩のことを心配して赤木は断りますが、彩は「大丈夫」と言って取材を受け入れます。
黒田の話は延々と続くのでした。
場面は変わって、オフィスの休憩所。所属タレントの胡桃と、水森、彩でお喋りをしています。水森は彩のマネージャーでもあり、熱狂的なファンでもあるようです。
そこへ赤木が合流します。赤木は彩と非常に仲が良く、周りもほほえましく見ています。
赤木は彩と一緒に帰っていきました。
一方の黒田と緑川は、赤木から貰った彩のプロフィールを見ながら何やら話しています。
緑川は何かを知っているようです。怪しげな雰囲気。
帰宅した赤木と彩。赤木は鍵をかけたことを確認すると、彩に「もういいよ、白」と言います。
彩は一変して表情が乏しくなり、声にも抑揚がなくなります。赤木が今日一日を振り返っても、「うまく演じられたと思う」としか言いません。(この彩の本性を、本名の“白”とします。)
赤木はドキュメンタリーの撮影を心配しますが、白はよくわかっていない様子。赤木は「いつも通り、心配しないでね」と言って、休むよう促します。
白は「私、本当にわかるようになるかな。演技じゃなくて。」と、不安を口にしますが、自覚がないようでした。
▼②承:再会と「白」の秘密
数日後、芸能事務所のオフィスでは、ドキュメンタリー映画の撮影が始まっていました。彩はインタビューを滞りなく受けています。
そこへ、助監督の緑川が大学時代の後輩を見学させたいと連れてきます。
現れたのは、内海透という青年でした。彩は内海を見て、固まってしまいます。
内海は、彩の中学時代の同級生でした。撮影を再開しようにも、彩は「白」になってしまい、うまく演じることが出来なくなっていました。
見かねた赤木が彩を帰らせて、撮影は中断してしまいます。
赤木は黒田・緑川に詰め寄ります。彼らも詳しいことは知らないようで、逆に「さっきの彩ちゃんはどうしちゃったんですか?」と聞かれてしまう始末。
彩も彩で、オフィスの休憩所にいた胡桃に「白」の姿を見られてしまいます。
胡桃や水森も、いつもとは違う彩の様子を心配していました。
赤木は帰ってきた白に、内海とはどんな関係性だったのか問い詰めますが、「ただの同級生だった」としか言いません。
しかし、「写真を撮られた」ということと、白の「全部を知っている」と言います。赤木はすべて自分にまかせるように言って、その場を後にしました。
次の日オフィスでは水森の取材が行われています。
そこで緑川は、前日の彩の様子へ言及します。どうやら彼は、内海以外にも彩の中学の同級生と知り合いらしく、彼女の中学時代について疑問を持っているようでした。
何でも、彩は中学一年生の冬に上京してきて芸能活動をはじめたものの、中学一年生の一年間、学校へ全く行っていなかったようです。そこで良からぬ噂――大学生の彼氏と付き合って遊び歩いていた、という噂が立っている、と。
続けて、前日の彩の様子を考えると、その際薬物に手を染めたのではないか?と、黒田は言います。
無神経な二人の推論に水森は憤慨し、赤木へ報告にしに行きます。
赤木は話を聞いて、彩を呼び出し、「噂のことをきちんと弁解するかどうか、彩に決めてもらう」と言って、二人で居なくなってしまいました。
少し経って、オフィスの休憩所で、胡桃とともに彩を心配する水森。
彩はドキュメンタリー映画の撮影で街へ出ているようですが、居場所が分からず、もやもやしています。
胡桃は先ほど男の人と一緒にいた彩を見かけたと言い、きっと緑川が取材を行っている場所だと、二人で街へ出ます。
しかし、探しても見つからず、胡桃は一人で遊びに行ってしまいました。
一人残された水森は、内海と出会います。内海は彩の“噂”について知っているようですが、何も言いません。はぐらかして、去って行ってしまいました。
胡桃と偶然合流した彩を見つけ、水森は不安を抱えたまま、取り残されます。
次の日、オフィスでは赤木への取材が待ち受けていました。
彩を心配する水森に、赤木が言います。「この撮影で決着をつける」
そして赤木は、カメラの前で彩の“噂”について話してもいい、と言います。そんな赤木に彩は、自分で話すと言います。
「いじめられてたんです。中学一年生の時。」
中学へ行けなかったのも、良からぬ噂が立っているのも、すべてはいじめのせいだ、と赤木と彩は言います。何も言えなくなる黒田。しかし緑川は、「でも今彩ちゃん、普通じゃないですか?」と言います。彩はいじめの時のことを苦しそうに喋っていたのでした。
そんな緑川を赤木は非難します。黒田は謝罪し、緑川を連れて帰っていきます。
しばらくして、また休憩所で水森と胡桃がしゃべっています。水森もどこか引っかかる部分があるようです。
そこへ黒田と緑川が訪ね、無神経な詮索をしていたことを詫びにやってきます。赤木の元へ行きたいという黒田を案内する水森。しかし、胡桃が緑川を指して、水森に言います。
「この人じゃない。彩ちゃんと一緒にいたの、この人じゃない。」
赤木が焦って社長室から出てきて、水森に事務所のカギを閉めるよう促します。
何事かと黒田が聞くと、赤木は携帯の画面を出して、言いました。
「彩と内海透が、撮られました。」
▼③転:決裂と過去
事務所には彩は戻ってきていません。苛立つ赤木。
黒田と緑川がやってきて、撮影をさせてほしいと言います。当然追い返しますが、黒田は食い下がります。そして赤木は思い立ちます。
「あんたたちが仕組んだの?」
緑川は取材と言って彩を街へ連れ出し、内海のいる近くで撮影を中断することで、偶然を装って内海と彩を会わせていたようです。しかし自分たちはきっかけを作ったに過ぎない、彩の意思で「お忍びデート」をした、と。
彼らは彩と赤木の言う「いじめ」が、言わされているように感じていたようです。だからこそ、今真実を話すのではないか、と。
煽るだけ煽って、黒田と緑川は去っていったのでした。
しばらくして彩がやってきます。謝る彩に、「腹割って話しましょう、白。」と促します。
赤木は白へ、内海と町を歩いていたのはどういうことか、本当にただのクラスメートだったのか、問い詰めます。しかし、白は普通に話してただけ、ただの同級生だった、としか言いません。
赤木は苛立ち、白が中学時代に内海に撮られたという写真を差し出すよう促します。白が渡すと、赤木はその写真を破り捨てました。
続けて、「裸の写真を撮られて脅されていたことにしよう」と言います。パニックに陥る白。赤木は落ち着かせようとしますが、白はどんどんパニックになっていきます。
そして、嘘ばっかりだ、遼子さんより内海の方が私のことを分かっている、と激しく赤木を拒絶します。
赤木はその場から立ち去ります。一人残された白は、本当の、中学一年生の頃のことを思い出します。
中学一年生のある日、学校へ行かず土手で一人暇を潰していた時、内海と話した時のこと。
父親が重い病気に罹り、母親が精神を病んでいたこと。自分が学校へ行っても、家へ居ても、母親から激しい罵倒をされていたこと。
内海は優しく話を聞いてくれて、「ゲーセンへ行こう」という約束をしたこと。
その時、携帯にかかってきた母親からの電話をとらなかったこと。
しばらくして出た母親の電話は、両親の訃報を知らせるものだったこと。
母が縁を切った実家の、母の妹である赤木に引き取られたこと。
両親は、心中してしまったこと。自分は「普通じゃないから」、何も気づけなかったこと。
自分も死ねば良かったのか聞いたとき、赤木が言ってくれた言葉も。
「あんたの人生、私に頂戴。きっと変えてみせる。生きてて悪くないって思えるくらいには。」
そして赤木は一本のアコースティックギターを渡して、白に言いました。
「これは武器。世界一愛される女の子になるための。」
次の日、白は水森に起こされ、赤木の元へと行くことを決めます。
そして、事務所の前で内海と偶然出会います。内海が言うには、赤木に呼び出されたということ。三人で事務所へ入ります。
そこには赤木はいませんでした。代わりに、黒田と緑川がいます。二人は口論をしていました。
黒田は白や内海へものすごい剣幕で尋ねます。本当は何があったのか。状況を理解できない水森が二人に尋ねると、緑川が赤木から聞かされたことを話します。
大槻彩と内海のスキャンダルは、赤木が捏造したものだった。赤木が彩を脅して内海と会って来させて撮らせた、不仲の末の炎上商法だった。その告発をこれから撮ってほしい、と。
赤木は自分を犠牲にしてでも、“大槻彩”を愛されるべき存在にしたかったのでした。
その場の全員がそんなはずはないと思いますが、緑川は赤木が新しい映画撮影の話を融通する、という条件で、のんでしまったことを明かします。
黒田は納得がいっていない様子で白に本当のことを尋ねますが、「生まれつきだ」という白の証言を信じません。内海は白に外へ出るよう促し、白は外へ出て行ってしまいます。
白を追いかける水森。このままで良いのか、赤木はすべてを自分のせいにするつもりだ、と水森が訴えるも、すべてを受け入れるしかないという白。
水森は怒って、泣き出します。不思議そうにする白。
そんな白に水森は、赤木が白のことを、「わかんないだけで、ちゃんと笑ったり泣いたりできる普通の女の子」という風に言っていたことを明かします。
白は水森へ、内海と会っていた時、写真を撮ってもらっていただけだ、と明かします。内海が自分を、撮りがいがあると言ってくれた、と。
水森は「好きなんだね、内海さんのこと」と言います。白は、自覚せず、微笑んでいました。
▼④結:引退
そして、卒業ライブの直前。胡桃が心配して、「ずっと味方だよ」と言ってくれます。
そこへ内海がやってきました。白へ、赤木から頼まれた卒業ライブの台本を渡します。
「どうすればいいかは、大槻が決めれば良いと思う」と去ろうとする内海。白は、「もう写真、撮りたくない」と投げかけます。
内海は「じゃあ今度は、ゲーセンでも行く?」と笑います。白は微笑んだのでした。
すべてを話し終えた白は自分の罪を許すことが出来ないと、赤木から渡された自分の“武器”であるアコースティックギターを叩き割り、物語は幕を下ろします。
こんな感じです~。言うて、長い……ですね。笑
〇中級編🐥
中級編は観たことのある方へ。見どころや台詞を振り返っていきましょう。
▼遼子と白
母親と娘のような関係性の二人。特殊な「巣立ち」の物語でもあったので、物語の重要な二人です。
口論のシーンがとても好きで……。
***
白 違う! わかんない! あーもう、全部、わかんない!
遼子 白。
白 全部違う、遼子さん全部、全部違う、私、そういう……そういうことじゃない、そういうことじゃない!
水森 彩ちゃん、落ち着いて。
白 だって嘘じゃん。全部、全部嘘じゃん。確かに私普通になりたい、なりたいけど、そういうことじゃないじゃん、
遼子 でも、
白 私別に、内海に脅されてなんかない、し、いじめられてた、っていうのも、私別に、いじめられてこうなった、わけじゃない。もともとこうで、だから、普通になりたくて、今まで、
遼子 頑張ってきたんでしょう。だからこれからも頑張るの。
白 無理なんだよ。私、もう、無理なんだよ。内海と話してて、わかったんだもんもう、無理だったんだよ。
遼子 無理じゃない。
白 無理だよ。今までとこれからは、だって、違うから。
遼子 うまくやってきたでしょ。白 だから、無理……無理だよもう、やだ、全部やだ、やめる、全部やめる!
遼子 白。
白 頼んでないもん、だって、私、頼んでない。無理なこと頑張れとか、もう、無理だし、アイドルだってやりたくてやってるわけじゃ、ないし、写真だって、破って、嘘ばっかりじゃん、全部、嘘じゃん! 遼子さんより内海の方が、私のことわかってる!
***
あとはあれかな~~~回想。
***
白 私は、……私も一緒に、死ねば良かった、ですか?
間。
遼子 それは違うでしょう。
白 え?
遼子 だって、あんたは生きてるんだから。
世界が、色づく。
遼子 でも、そうね。あんた、生きづらそう。すごく。
あんたの人生、私に頂戴。きっと変えてみせる。生きてて悪くないって思えるくらいには。
遼子がアコースティックギターを渡す。白はそれを受け取る。
白 何、これ。
遼子 あんたの武器。
白 武器?
遼子 世界一愛される女の子になるための。
***
▼水森と白
“ミミちゃん”の愛称で親しまれた水森。終盤で白とぶつかり合うシーンが、今までで一番好きです。
***
水森 ……わかるよ。
白 何が。
水森 彩ちゃん、変だよ。普通じゃない。私、怒りすぎて、吐きそう。
白 ……。
水森 でも、彩ちゃんがそうするなら、私は、そうする。
白 どうして?
水森 だって、私は、彩ちゃんに、一生ついてく、から。
白 ……。
水森 (……ぐし)
白 どうして、泣いてるの。
水森 怒りすぎると、泣くの。白 そうなんだ。
水森 そうなの。
白 どうして笑うの?
水森 怒りすぎると、笑っちゃうの。
白 難しい。
水森 難しいの!
白 ……。
水森 でも、大丈夫。赤木さんが、言ってた。
白 何を?
水森 彩ちゃんは、わかんないだけで、ちゃんと笑ったり泣いたりできる、普通の、女の子なんだ、って。
白 ……。
水森 だから、大丈夫。
白 そっか。
水森 うん。
***
▼内海と白
私、内海透という登場人物が今までで一番好きなんです。好きしか言ってませんね今回。何ていうか……人間が出来ているというか。まあ、行動が若いですけど、そういうところも含めて、現実にいたら良いなあって思います。内海くん。
***
内海 ……今度ゲーセンでも行く?
白 何で?
内海 気分転換?
白 ……?
内海 わかんないか。
白 うん。
内海 まあ、行こうよ今度。楽しいよ。
白 ……うん。
携帯の着信音が鳴る。
内海 親から?白 うん。
内海 出なくていいんじゃない。
白 ……いいのかな。
内海 もう少しだけなら。
白 うん。
***
からの、
***
内海 大槻、大丈夫?
彩 ……。
白 うん。
内海 俺は怒られた。
白 え?
内海 怒られなかった?
白 ……怒られたよ。
内海 そっか。
白 もう、怒られることは、ないけど。
内海 ……。これ。
白 何?内海 台本。
白 何の?
内海 卒業ライブの。
白 ……。
内海 どうするかは大槻が決めれば良いと思うけど。
白 内海。
内海 何?
白 もう、写真、撮りたく、ない。
内海 そっか。
白 うん。
内海 じゃあ今度は、ゲーセンでも行く?
間。
白 うん。
白が、微笑む。
***
本当に出来た男ですね~~内海透。この口説き方、真似したいです。
〇上級編🐓
ここからはちょっと細かいお話。裏話、裏設定など話していきます。
▼8mさん!!
オープニングの曲を私がYouTubeで探していた時、たまたま見つけたあまりにも素敵すぎる曲があったのです。
8m(エイトメーター)さん、というインストゥルメンタルロックバンドの、『シズク』です!
本当に素敵で。無理を承知で連絡させていただいたら、快く提供いただきました。
他の楽曲も劇中で使わせていただいたり、ライブへ行かせていただいたり! いや、ライブが本当にすごくて。ライブハウスの端ですごい泣いた思い出、あります。音源も素敵だったんですけどやっぱりライブの威力ってすごいんだなって……。
是非聞いてみてください。是非!!!
▼曲を作ったよ
シンガーソングライターとアイドルのあいのこみたいなアイドルだったので、大槻彩ちゃんが。何か、曲を作りたいなと思って、作っちゃいました!
テーマソングというか、卒業ライブで歌えなかった最後の一曲っていうていで。
私が作詞作曲して、大槻彩/白役の小林桃香に歌ってもらいました。
音源Twitterで公開してます。是非聞いてみてください!
フルもあるんですけど、ラスサビでいきなり転調するんですよ。今考えると意味わかんないですね。当時n-bunaさんの「白ゆき」にハマってたからです。笑
▼今読み返して思うこと
最後です。読み返してみて思ったこと、綴って終わろうと思います。
悪くない……けど根本的な設定の粗が目立つ作品ですよね。何か。
芸能事務所とかドキュメンタリー映画とか、スキャンダルからその後の流れとか、何となくご都合っぽくて、集中を削がれるポイントだな、と思います。やりたいことはわかるんだけど知識が……みたいな。
同時にご都合キャラが何人か出てくるのもやだなって。胡桃ちゃんとか黒田さんとかね。
でも同時にそういうこと言うのも野暮だなと思うくらいには、綺麗な作品だとも思います。
要所要所でちゃんと、心に迫る会話をしているな、と思います。今読んでも胸に刺さるというか。綺麗で簡潔な言葉で、胸に残ると言うか。何か、そんな感じ。
この綺麗さが、(煙霞の癖とか春俟つ枕とかを経た)今の私に、毒にならないのもすごいなと思います。何だろう……?? 綺麗なだけじゃないんですよね、きっと。不特定多数に愛されるためには誰かが悪者にならないといけないみたいな、残酷さがあったりするし。
そういう後ろ暗さを、白でわーっと塗りつぶしてしまうみたいな、一貫した世界観が、目を見張るものになっているのかもしれません。
これだけは何となく……再演という形はとりたくないなと思います。
アイドルが大好きなので。違う形で、弔い合戦をしたい作品ですね。
以上! 本日もお疲れ様でした!!
『白に色づく』も、次回公演の物販に並びますのでね。興味あったら是非次の公演、来てみて下さいな。
これにて過去作品の振り返りは終わりです。
明日はこれからのこと。三年目のことをお話できればなって思います。
ばいちゃ~~~~~~~
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